8月 202013
 

オリコン によると。.

 “怖がらせ屋”のサリーとマイクの出会いを描いたピクサー/ディズニー作品『モンスターズ・ユニバーシティ』が、ついに日本国内の興行収入70億円を突破!強豪ひしめく夏休み映画のなかで、今年最大のヒット作に躍り出た。前作の『~インク』に続いて快進撃を続けるなか、転職サイト「ORICON STYLE“Career”」では、同2作の日本語吹替え版翻訳を手掛けてきた映像翻訳家・杉田朋子氏にインタビュー。性別、世代、国境をも越えて愛される作品を、日本人の心に届ける翻訳の妙とは?

映像翻訳家・杉田氏が語る「吹替えの壁」と「言葉との向き合い方」

■キャリア20年のベテラン映像翻訳家からみた「現場の変遷」

 東北新社の社員である杉田氏は、キャリア20年を越えるベテラン映像翻訳家。現在は同社の外画制作事業部翻訳室の主任を務め、『モンスターズ』シリーズのほか、海外ドラマ『ホワイトカラー』『アグリー・ベティ』など、多くのヒット作を手掛けてきた。もとは映画館でのアルバイト経験を持つほどの映画好きで、就職活動のときからこの仕事に就くことに憧れていたという。

 長く携わってきた映像翻訳の現場について、当時と今を比べてみると「どんどん英語がわかる方が増えてきているので、あんまり原文から離れる翻訳は出来なくなりましたね」と環境の変化を吐露。「昔の海外ドラマなどを観ていると、すごく自由だな~って思います。全然言ってないことをどんどん言わせたり、元のキャラクターからずいぶん変貌を遂げていたり(笑)。今だと考えられないですね」と、原作に対してより忠実で正確な翻訳が求められているようだ。

■吹替版の翻訳では“長さ”が命! 難関は「歌」

 吹替えの現場では「長さが命です」と明言する杉田氏。尺を計るために同じシーンを何度も声に出して読む作業が続くそうで、「例えば怒鳴り合うシーンの多い作品だと、書き上げた時には喉がガラガラになっていることもあるんですよ(笑)。あとは泣きながらの台詞も難しいです。泣いた時の話すリズムは役者さんごとに全く違いますから。私自身は演技経験なんてゼロですけど、とにかく実際に喋ることで長さを計っています」。

 最も苦労するシーンについては「歌です」と、こちらは即答。「英語は1つの音符に1つの単語が載りますけど、日本語は1音に1文字。台詞と比べてさらに日本語の入る量が少なくなります。そして音楽に合わせ、リズムよく歌詞を訳すという…もう、どうやってこの内容を盛り込もうかと(笑)。本当に悩みどころですよ」とトホホな笑いを浮かべた。

 公開中の『~ユニバーシティ』でも歌のシーンは登場する。しかも、『ユニバーシティ』とあって、今回は校歌だ。「劇中の短いシーンと、別のフルバージョンの収録もあったんですけど、これがまた非常に難しくて(笑)。校歌らしい歌詞を考えつつ、でも古過ぎる言葉遣いを盛り込むことも避けたい。悩みましたね」。

■サリーならこんなセリフは言わない…何度もチェックバックを重ねたカットも

 同作で最も印象深い場面については、湖畔でサリーとマイクが友情を確かめ合うシーンを挙げた。「いつもはマイクがおしゃべりでまくし立てる役で、対照的にサリーは口べた。でも、ここではサリーが胸に溜まったものを打ち明ける長台詞がありました。ディズニーさんとも『サリーはこんなこと言わないよね』と意見を交わしながら、何度も何度もチェックバックを重ねました」と裏側を明かした。

 推理ドラマ、恋愛ものなど多ジャンルの作品を受け持つなかで、好きなジャンルは「人間ドラマ」という杉田氏。「このモンスターズでも、マイクの前向きさや健気さ、サリーと一緒に困難を乗り越える様子は人間ドラマに通じるところがって、翻訳をしながら感動しちゃうんです。台詞の掛け合いも本当に面白くて、お仕事とはいえ心から楽しませてもらっています」。

 『モンスターズ・インク』から11年。主人公のサリーとマイクの出会いを描いた同作は、クラスメイトとのケンカ、将来の夢や挫折、そして仲間たちの熱い絆を描いた青春グラフィティ。日本語吹替え版声優には爆笑問題の田中裕二とホンジャマカの石塚英彦が続投している。

 Posted by at 4:30 PM

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