4月 132016
 

ダイヤモンド・オンライン によると。

● 社会的支援を必要とするのは介護も保育も同じ

 「保育園落ちた日本死ね!! ! 」。匿名ブログがさまざまの待機児解決策を生み出しつつある。小規模保育園の定員増や一時預かりの定期利用などのアイデアだ。お金のかかる保育園本体の増設を避けて、既存施設への「詰め込み」と批判されているが、ともかく前向きの一歩ではあろう。

 保育園への入園に不安を抱えた家族は複数の子どもを育てることに躊躇しがちで、少子化の流れを加速させてしまう。年間の出産数が100万人ギリギリの状態なのも頷ける。

 何しろ、団塊世代は年間270万人も誕生していた。隔世の感だ。その団塊世代が2025年になると一斉に後期高齢者、75歳以上に達し介護保険と医療保険の利用が一段と増える。

 彼らを支える世代がこれほど減ってしまうのだから、政策の重点を何処に置いたら良いのかは火を見るより明らかなはず。

 介護保険が始まって以来、高齢者ケアへの関心は急速に高まっているが、表裏の関係にあるはずの子育て、育児の問題はほとんど素通り状態。共に、何らかの社会的支援を必要とする家族にとっては全く同様の問題である。なぜ、育児に介護と同じような保険制度など社会的なシステムが考えられないのだろうか。

 まず、介護保険の仕組みを視野に入れながら、現行の育児、保育を見て行こう。
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● 「福祉至上主義」のツケ

 保育サービスに匹敵する介護保険のサービスは、自宅に居ながら利用する在宅サービスである。朝から夕方まで受け入れるデイサービス(通所介護)が最も近い。

 2000年4月の介護保険スタート以来、デイサービスの開設は相次ぎ、地域によっては需要を上回る供給量となっている。新参事業所は定員の確保のため、営業に奔走しているほどだ。なぜ、供給が増えたのか。

 株式会社が一斉に参入してきたからだ。介護保険前までは、民間企業は高齢者福祉に原則関わることができなかった。それが、在宅サービスに限って門戸開放され状況が一変した。

 一方、企業が開設した保育園は全体の4%にしか過ぎない。介護保険法の実施と同時に児童福祉法が見直され、企業運営が認められたが、実際はこの有様である。

 介護も保育も、利用者が増えていくとともに普通のサービス業への転換を迫られるのは当然のことだろう。サービスに創意工夫を凝らせば利用者の共感を得られて需要が高まり、施設の増設につながる。あらゆる産業に共通する規模のメリットが生まれ、効率的な運営をもたらす。デイサービス事業者がこれだけ地域に行き渡り、利用者が選択できる時代になった。介護保険のキャッチフレーズであった「選べるサービス」が実現できた。

 では、なぜ保育には企業参入が増えないのか。「市区町村が許可しないから」というのが企業側の一致した答えである。

 保育園の9割以上が市区町村の直営か社会福祉法人が運営している。介護保険の前夜と同じだ。保育関係者には、いまだに「子どもの命を預かる保育園に、金儲け主義の企業運営はふさわしくない」「会社なんてとんでもない」という意識が根強い。

 保育現場にも「母親が面倒を見ない可哀そうな子どもたちに私たちが手を差し伸べてあげている」という気持ちの保育士も多い。福祉至上主義が蔓延している。

 加えて、社会福祉法人には「ライバルが出て来ては困る」という思いも強い。社会福祉法人は、税金の納入を免除されている極めて特別な「異様な」組織である。収支のバランスを採りながらの運営は、当初から念頭にほとんどない。税の投入で成り立っているからだ。まして、地域の待機児童には全く関心がない。目先の園児にしか目が向かない。

 そこへ競争者が現れて、利用者家族の立場に立って利用時間を延ばしたり、きめ細かいサービスを始められたらやっかいなことになる。効率的な運営をされてしまえば、対照的な社会福祉法人の非効率な運営が露わになり、補助金の削減につながりかねない。「安穏な経営」にメスが入ってしまう。

 そのため参入を阻止しようと、「保育は福祉」を前面に押し立て、自治体に圧力をかけてきた。地元の「実力者」として議員や議会に影響を及ぼすことも多い。

 自治体の職員や首長も、こうした「福祉パワー」に押されたり、本人の「福祉」への強い思いもあって企業忌避に向かう。千葉市や名古屋市など多くの全国の自治体は、新設保育園の運営から企業を排除し、地元の社会福祉法人しか認めてこなかった。いずれも多くの待機児童を抱えていながらだった。

 現在、待機児童数が全国1位の東京都世田谷区もつい最近まで、企業運営を事実上認めなかった。そのツケが回ってきているに過ぎない。

 Posted by at 9:15 PM

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